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ロスに陥っています。

久しぶりにお芝居を見ました。

とても興味があったので、三日間通いつめ、昨日千秋楽となり、十分に満喫したのですが。

題材が「美しきものの伝説」…大正時代の演劇と政治と文学にまつわる物語です。

宮本研さんの戯曲は美しい言葉でつづられており、そして、演出も斬新で、夢の世界を漂っているような感覚でした。えした

…その最後に「さみしいな、しぃんとさみしいな」という松井須磨子の、伊藤野枝にあてた手紙があるのですが。

それは遺書でした。

しみじみとそれを思い出す野枝の言葉と、背景いっぱいの青空、降り注ぐ白い照明の光がとても美しく、忘れられないほどのインパクトを残して終幕となるのです。

今年は大正107年にあたるのだそうです。

今では、大正時代は戦争と戦争の合間のような長閑で美しい時代と思われがちですが。

軍部や憲兵、そしてさまざまな思惑が入り乱れ、動乱や事件が多発する、実はとても血生臭い時代でもありました。

映像作品は、なんどでも繰り返し見られる、という利点があります。

しかし。

演劇・生のお芝居や、その時限りです。

じっと、目を凝らし、耳を澄まして、そのセリフや動きを取りこぼさないように、懸命に観てきました。

楽日の帰路、じわじわと虚脱し、一晩眠った今朝から、強烈なロスに陥ったのです。

ああ、良い作品だったなぁ。

そう思うたびに、野枝の声でつぶやかれる松井須磨子の言葉が蘇るのです。

「さみしいな、しぃんとさみしいな」

今、まさにそんな気持ちで、昨日のお芝居を反芻しているのです。